宵闇に馨る
一輪の白い花のように
秘密を抱える蝶となり
誰も知らぬ海に飛び立つ

暁に耀く
地平を染める星の囁き
物言わぬ貝となり
深く沈んでいく水面の底

白い霧は嘘の存在を
蒼過ぎる水は続く痛みを
紅い光は裏切りを



セピアの水面が揺れる
抜殻のこの身に緩やかに
此処から生まれる音を探して
此処から芽吹く一葉を夢見て
不惑-君は知らない-      BACK