透ける月


通り抜ける その風は
我が六感に吹き渡る
捨てたはずの想い出も
忘れたはずの言霊も

照らし出されるその影は
遠くで我を待つものだろうか

呼び寄せる甘い誘惑と戦う我を
引き留める月の貴方
もういいだろうとの声に抗う我を
優しく求める月の貴方

夜の夜気に流れる
微かな匂いを辿り
一つだけ咲く花で
痛んだ羽を休める

全て持って我は行く
全て信じて我は行く


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